地方創生とふるさと納税(ふるさと納税 寄附金の使い道)

日本の持続的な成長は地方から

高知県東部に位置する奈半利町。町のほとんどは山間部、西には太平洋があり、農業や林業、漁業・水産業をはじめとする第一次産業を中心に町は栄えてきた。
現在、3,000人強の人が暮らす奈半利町は、高齢化が進み、1980年代後半から人口減少が進んでいる。日本の地方各地に見られる過疎化の波は、奈半利町にも例外ではなく訪れている。

政府は、日本の人口減少を克服し、将来にわたって成長し続ける「活力ある日本社会」を維持することを目的に、平成26年12月、「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を閣議決定した。

「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」
「地方への新しいひとの流れをつくる」
「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」
「時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する」

これら4つを基本目標に、政策が進められる。

奈半利町の取り組み

奈半利町も、この政策にあわせて、総合戦略を策定し、町の活性化を進めている。
「奈半利町集落活動センター」の設立は、その取り組みの中心ともいえる施策だ。

  • 地産外商により安定した雇用・産業を育成する
  • 新しい人の流れをつくる
  • 若い世代の希望を応援する環境づくりを進める
  • 地域内連携により暮らしを守る

この4つの目標を掲げて、町と住民が一体となり、奈半利町の人口減少に歯止めをかけて、地域コミュニティの再生を図り、まちに活気を取り戻すことで豊かな生活環境を実現することを目指している。


さきほども述べた通り、奈半利町は人口約3,000人ほどの町だ。そのうちの4割ほどが65歳以上の高齢者である。町の活性化を進める施策を推し進めるには、人手も税収も限界がある。

ふるさと納税の寄付金の使い道

奈半利町は、平成29年度のふるさと納税の受入額で全国9位になった。
町の豊かな自然を活かして生産される米や野菜、肉類、水産物が、日本各地の大勢の人々の目に留まり、寄附が集まった。
奈半利町に集まった寄付金は、「ふるさと応援基金」として、大きく4つの事業に活用されている。

  1. 活力のあるまちづくり事業
  2. 観光で賑わうまちづくり事業
  3. 元気な人づくり事業
  4. その他、より良いふるさとのまちづくりに必要な事業

「1. 活力のあるまちづくり事業」としては、農道や用水路などの産業基盤の整備費用、特産品の開発事業のための費用、農林水産業の事業振興のための補助金や施設園芸の整備費用などに充てられている。奈半利町の第一次産業を守り、推進していくために必要不可欠だからだ。
また、「奈半利のおかって」「加領郷魚舎」での特産品の加工・販売や、ふるさと納税の返礼品をはじめとする特産品の集出荷施設の整備にも使われる。奈半利ブランドとして特産品の価値を高め、さらに多くの人に奈半利の特産品の良さを知ってもらうためだ。

「2. 観光で賑わうまちづくり事業」としては、毎年夏に開催される「港まつり」や「ちびっこトライアスロン」、ゴールデンウイークに開催される「加領郷漁港祭」など、町の内外から多くの人が参加するイベントや、珊瑚ウォッチングの遊覧船や海浜センターの整備・補助金、魚梁瀬森林鉄道日本遺産、野根山街道の保存のためにも活用されている。奈半利町の豊かな自然を知ってもらう機会を作る戦略を検討し、観光施設の整備や観光ガイドの育成に取り組んでいる。

「3. 元気な人づくり事業」では、こども園の整備や小中学校の図書、教材、施設整備など、教育振興を中心に活用され、「4. その他、より良いふるさとのまちづくりに必要な事業」では、出産祝い金や認定こども園の授業料無料化のための支援金、集落活動センター、防災センターの活動費用などに使われている。


ふるさと納税は、制度を開始してから約10年。いくつかの課題が見つかり、見直しが迫られているが、地域の特産品を全国各地の人に知ってもらうために、町の特産品の生産を守って改善し、町に雇用が生まれ、集まった寄付金がより良いまちづくりのために使われるという、地域経済、地方自治体の活性化に繋がる制度であるのは間違いない。
奈半利町の明るい未来を創出するためにふるさと納税の寄付金が使われることは、寄附者としても本望だろう。