奈半利町の特産品「いちじく」の秘密に迫る

奈半利町はいちじくが特産だ。奈半利駅内の物産館の名前も「無花果(いちじく)」で、ここには夏場はふくよかなイチジクが並び、収穫の時期でないときにもいちじくジャムやいちじくドレッシング、いちじく羊羹など、いちじくの加工品が多く販売されている。
もともとアラビア半島や地中海沿岸部が原産と言われるイチジク。高温多湿を好み、寒さと乾燥を嫌う性質は、日本の、特に西日本や太平洋沿岸地域の気候にマッチするため、愛知県や和歌山県などで多く栽培されている。高知県は収穫高が全国的に多いわけではないが、奈半利町では町の特産品として多く栽培されていて、県内をはじめ、各地へ出荷されている。

ミステリアスな果物「イチジク」

「漢字で書くと『無花果』」「不老長寿の果物」として名高いイチジクだが、その名声も果実のビジュアルもミステリアスな雰囲気が漂う。子どもの頃には、なかなか取っつきにくい果物だったのではないだろうか。
イチジクは見た目上は花が咲かずに実だけがなっているように見えることから、古来中国で「無花果」という漢字があてられたと言われているのだが、実は、普段私たちがイチジクの実をカットしたときに見られるあのブツブツした粒、これこそがイチジクの花なのだ。
イチジクは、新しい枝が育つと、その先に「果実」ができる。一般的に「果実」というが、これは花を入れるための「花嚢(かのう)」と呼ばれる袋で、他の植物の果実とは性質が異なる。花嚢とは、その名の通り「花のためのふくろ」だ。イチジクは花嚢の中で無数の小さな花を咲かせ、私たちはそれをおいしくいただいている。
もう1つ。「不老長寿の果物」と呼ばれる理由は、その栄養価にある。イチジクの可食部分に含まれる栄養素のなかで、水分、炭水化物に次いで多いのが水溶性食物繊維である「ペクチン」だ。食物繊維と言えば腸に良いイメージがあるが、水溶性の食物繊維は、血糖値やコレステロール値の急激な上昇を抑える働きがあるので、糖尿病や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病の予防に良いとされる。
また、フィシンなどの酵素も多く含んでいて、たんぱく質を分解して消化を促進してくれる作用もある。
カルシウムや鉄分といったミネラルも豊富で、特にカリウムが多いので、高血圧の予防やむくみが気になる方にもおすすめだ。
特に女性に嬉しいのが、美肌を作るための栄養素が豊富であること。健康な肌を創り出すために必須のビタミンB群、抗酸化作用をもつアントシアニン、メラニン色素を抑える作用があるザクロエラグ酸がイチジクには含まれている。

出荷できないいちじくをロールケーキに

このように、おいしくて栄養価の高いイチジクだが、いちじくの生産がさかんな奈半利町では、商品として出荷できないいちじくの利用法に頭を悩ませていた。そこで開発されたのが、ふるさと納税でも人気の「いちじくロール」だ。

「商品として出荷できない冷凍したいちじくを何とかしてもらいたいという話があって、試行錯誤して作ったロールケーキです。ロールケーキなら、みんなに食べてもらえるかな、と思いました」
あんじーるの萩原 光枝さんが作るいちじくロールは、奈半利町のおいしいイチジクをゼリーにし、それをふんだんに使っている。
あんじーるのいちじくロールは、ふるさと納税のほか、イベントや物産館で入手可能。ゴロっとした大量のいちじくのゼリーを、しっとりした素朴な味わいのスポンジで包み込む。いちじくの爽やかな酸味と、どこか懐かしい味わいが特徴だ。
生産量があまり多くないので、見かけたらその場で入手してほしい。